それは、静かに心に染み入ってきた。
今の僕が犯罪者ではない意味をしっかり理解するべきだった。
僕は、犯罪者ではない。
でも、前の会社にいたら犯罪者である確率が高まっていたんだ。
僕は、忘れよう忘れようとばかりして大事なことを忘れていた。
満員電車、それは僕にとってだめなんだ。
それを忘れていた。
僕が契約社員でい続けるのも、すべて犯罪者にならないためだったということを忘れていた。
ようやく自分抑えられるようになってきたのだ。
爺になったからかもしれないけれど、一度も捕まってないことは確かなことなんだ。
ああ、ぼくはシャバで生きている。
それが全てだ。
それがお父さんとの約束だ。
それさえ守ればあとは何をしたっていいじゃないか。